男は匣を持つてゐる。 大層大事さうに膝に乗せてゐる。
時折匣に話しかけたりする。 眠い目を擦り、いつたい何が入つてゐるのか見極めようとするが、どうにも眠かつた。 壺か花瓶でも入つてゐるのか。 何とも手頃な善い匣である。 男は時折笑つたりもする。「ほう」 匣の中から聲がした。 鈴でも轉がすやうな女の聲だつた。
京極夏彦「魍魎の匣」冒頭より
姉ヶ崎寧々とは凄い女である。
読書が趣味という設定らしいが、京極夏彦まで趣味の範疇とは恐れ入る
しかもこの本を
「いつも一緒に読むことにしない?途中で投げ出しそうになっても、支え合えるでしょ?……ね?」とか
最後の「……ね?」が怖いのは僕だけか
”寧々さぁーん”などとたいした興味も無く群がる連中を、一網打尽にする為ゆえのこのチョイスだったのか。講談社文庫恐るべし、である
と長々書いておいて何だが、”気になること”とは実は別にあって
京極夏彦ファンなら辿るべくルート「魍魎の匣」→「殻ノ少女」の「殻ノ少女」についてである
ご存じ小説”魍魎の匣” 京極夏彦節全開の人を選ぶ小説である |
innocentgray “殻ノ少女” その”魍魎の匣”を勝手にパクってエロゲーにしちゃった作品 |
詳細はわからない。
実は心の広い京極夏彦氏が「ほう、私の作品をエロゲーとは面白そうじゃないか」と許可を出したのかもしれない
まぁそんなことはどうでも良くて、殻ノ少女は実に面白かった。
京極夏彦氏の作品をエロゲーにしたらこんな感じになるのか、非常に感心したものである。
ラストとか、もう本当これいいのか?って思えるくらいやっちゃっている
ところで、今更ながらなんと続編を作っているという情報を得た。
もちろん喜ばしいことではあるが、いや、原作(と言っちゃなんだが)”魍魎の匣”に続編は出ていない
これは一体どういう作品になってしまうのだろうか
とてつもなく不安である。ここの会社”ピアニッシモ”や”クロウカシス”でやっちゃってるだけにとてつもなく不安である。もしかしたら最後に万能感全開の妹なんかが出てきて全部事件を解決しちゃうんじゃないか、と思っちゃうくらい不安である。
とりあえず、買うことは間違いないと思うので
なんだかんだ自分はうるさいだけ、である。まさに
ところで、殻ノ少女のホームページにしっかりと
”美少女ゲームアワード シナリオ部門 優秀賞”と書かれているが、本当太っ腹ね、エロゲー業界って(笑)